【ブエルタ2020感想】2020シーズン終了と来シーズンの展望

ブエルタ2020も強かったユンボとログリッチ

ブエルタ2020が決着しました。

今年はコロナの影響でブエルタが今年の自転車シーズン最後の大会でもあるので、ブエルタの終了は今年の自転車シーズンの終了を意味します。

2020シーズンも終わりという事で、ブエルタ2020全体の感想と、今年を振り返って来シーズンの展望を少しだけ書いておきます。

ブエルタ2020感想

第18ステージ表彰台3人で肩を組む

ログリッチ選手、優勝おめでとうございます。

そして、私の事前予想は今大会もことごとく外れました。はい。

従って、ここからは言い訳が続いていく訳なのですが、同時に来シーズンこそはグランツールの予想が良い線に行くのではないかという希望も湧いてきました(フラグ)。

というのも、何人かの選手やチームに関して思い違いをしていた部分があったと気付いたからです。

先ずはその前に感想を書きたい幾つかのステージについて簡潔に感想を書いておきます。

第1週・stage6(レインウェア事件)

元々、1級山岳ポルタレト峠、超級山岳オービスク峠、超級山岳のトゥルマレー峠という過酷な山岳ステージの予定がフランスのコロナ拡大の影響で、3級・2級・1級に変更されたステージでした。

この変更自体は見た目上のプロフィールは難易度が下がるため、ログリッチ有利な変更なのではないかと当初は私も考えていたのですが、違った要素がこのステージを厳しいものにしました。

それは悪天候と、それによる寒さです。

10月下旬の気温の低さに加え、雨に濡れることによる寒さの影響で、明らかに調子を落としてそうな選手が映像を見るだけでも何人もいました。今年の変則的なスケジュールは、こういう部分にも影響しています。

そして、選手達に降り注ぐ雨は、思わぬ展開を引き起こしました。

ログリッチがレインウェアを着るのに手間取ってポジションを下げていた際に、タイミング悪くIneosがスピードを上げたことで思わぬギャップがついてしまい、それを埋めるためにユンボはアシストを最終山岳までに使い切り、さらにログリッチも足を使ってしまいました。

このレインウェアが着にくいという話は、今大会ではJSPORTS解説陣が幾度となく話していたのですが、空気抵抗の問題でタイトなものになっていることが一因ではないかと話していました。

このブエルタではしょっちゅう雨が降っていたこともあって、そういう場面が多く見られました。そして、ただでさえ着にくいそんなウェアを山頂で受け取って、雨の降るリスキーなダウンヒルをしながら着ることを強いられたこのステージで事件が起きたという訳です。

Ineosのスピードアップはタイミング的にも私は意図したものではないと考えているのですが、パンクでも落車でも無いのにログリッチが下がったという連絡を受ければ、足を緩めないのは当然でもあると思います。

結果的にログリッチが優勝したから良いものの、ユンボはそういう所がまだまだ甘いような気がします。

(※ジロ2019でもチームカーが中々来ないという場面がありました。)

総合争いをする選手がこういう遅れ方をするのは初めて見たので、当時は不調なのかとかなり心配しました。

また、本来のコースであるトゥルマレー峠の山頂フィニッシュであった場合、結果がどうであったのかというのは気になるところですが、「アシストの差」で結局はアングリルステージの秒差ぐらいしかカラパスは稼げなかったのではないかと思います。

総合トップ10の顔ぶれも、結局は第1週の内から登れている選手が最終的にも総合トップ10にいますので、このステージ変更は見ごたえという点で残念だった変更ですが、そこまで成績に影響したものでは無かったような気がします。

第2週・stage12(アングリル決戦)

ブエルタ2020のクイーンステージであり、二重の意味で「山場」のステージです。

私は事前予想の際には詳しく書かなかったのですが、このステージでカラパスとログリッチの間に大きな秒差が出来るのではないかと思っていました。

(今思えば、超級山岳で差が着くと思いますとぐらい書いておけば良かったですが)

なんせ、アングリルですからね。登坂能力の見せ所な訳です。

しかし、結論から申すとカラパスはログリッチから秒差を得ることに成功したものの、その差は僅か10秒であり、それはステージ上位のボーナス秒で簡単に覆ってしまう程度のものでした。

カラパスの獲得秒差が10秒に留まったのにはいくつか要因があると思いますが、一番大きな差は「アシストの差」だったように思います。

ログリッチはセップ・クスが最後にアシストをしなければもう数十秒を奪われていた(数十秒を守った)であろう一方で、カラパスはアングリル突入前に既に単騎になっていました。

Ineosはそれ以前の山岳でペースを上げることでアングリルでの戦いを厳しいものにしようという意図があって、ある程度アシストを使い捨てたのは確かなのですが、それは抜きにしても今大会を通してIneosはアシストを最終局面まで残すことが出来ていませんでした。

Ineosは大会を通して、最後アマドールが残っているかどうかというレベルでした。

特にこのステージではそのアマドールがカーブで落車して勝負所で前に上がるタイミングを逃してしまったのもあって、アングリルの前に一番調子のよいアシストが抜けてしまったという点で「アシストの差」という秒差が分かりやすく出たステージでもありました。

また、ログリッチがアングリルを登るのはキャリアの差もあってこれが初めてということでしたが、その経験の差を抜きにして厳しい山岳を乗り越えた後にこれだけの激坂山岳を登坂するのは脚質的に明らかに厳しそうでした。

ツール・ブエルタを通じて地力の差で明らかに大きく遅れる場面が少なかったログリッチでもここまでの山岳+激坂ステージだと脚質的に厳しいということを知ることが出来たのは、私的には収穫でした。

第3週・stage13(激坂TT)

第3週のステージで取り上げるならば、超級山岳フィニッシュであるstage17よりもこのTTステージを取り上げたいです。

このステージでの注目は、第2週終了までにカラパスが得たログリッチに対する秒差10秒をログリッチがどれだけ逆転することが出来るのかということでした。

結果についてはJSPORTS実況陣の反応からしても、ログリッチが早いというよりはカラパスが思いの外早かったと思われた方も多いかもしれませんが、実は、カラパスはTTが得意とは言わないまでも全然苦手ではありません。

TTスペシャリストからはタイム差を奪われてしまうのですが、純正クライマーからはタイム差を奪うことが出来てしまう、体格的には結構珍しい脚質をしている気がします。

これはジロ2019でカラパスが優勝した際、気になって過去のTTのデータを全部見たから私は知っていたのですが、確かに意外な事実かもしれません。

ジロを制してIneosに移籍しても尚、このカラパスという選手に対して過小評価をしている人が多い印象です。

むしろ、私は最後の登坂でカラパスはログリッチより早く登るものだと思っていましたので、ヒューカーシ―と同じぐらいのタイム、つまりは後20秒ほど――ちょうど最終的な秒差ぐらい縮まっているものだと平坦区間が終わった時には思っていました。

そこら辺の予想のズレがちょうど優勝予想の外しという所に繋がっています。

ただ、ログリッチがカラパスよりも早く最後の登坂をこなしたことを考えると、ログリッチは坂の角度というよりも、長さとテンポ(自分のペース)が問題なのだろうと再認識しました。

思えば、元々はTTスペシャリストとして頭角を現した選手ですから、テンポ(自分のペース)というのは非常に彼にとっては重要な要素になっているのだろうと。

そして、今年はツール・ブエルタと、セップ・クスを始めとした強力なアシストに守られていましたが、これが少しでも崩れた場合、意外と脆いのではないか?と尚もログリッチを疑ってしまいます。

(※もちろん、単独でもかなり強いというのは置いておいて。そして、去年のブエルタ2019はライバルがそこまで強くなかった印象です。)

実際、ログリッチが遅れる場面というのはツールのTTを除いて、単騎でいることを強いられるような場面でした。他チームのエースが既にユンボのアシストによって削られていつも単騎になっていたことを考えると、何となく過保護な印象を受けてしまいます。

「偶々アシストがいたから良かったけど……」と。

それに加えて、どうしても「経験の差」、ログリッチのキャリアの短さから単騎での駆け引きになった場合に決定的な選択ミスをしてしまうのではないかという懸念が拭えきれません。今年はアシストの強力さ故に、そのような状況がありませんでした。

まあ、私如きがイマイチ信用しなくとも、世界中の人が信用している素晴らしい選手であることには間違いないのですから問題ないのですが。

ブエルタ2020で気になった選手とチーム

ブエルタ2020において、私の中で気になった選手やチームがありましたので、何人かテーマごとに取り上げます。

それにしても、今年のブエルタはツール組が大体そのままスライドしてきたので、豪華でしたね。殆どの選手がダブルツールだと考えると、これは異常な事態です。

山岳賞を獲得したギヨーム・マルタン

私の事前予想ではカラパスが山岳賞を獲ると思っていました。

というのも、超級はカラパスが全て上位で撮るという予想と、連日の山岳続きのステージでポイントを多く重ねることが出来る選手は総合系以外で居ないと思っていたからです。

従って、従来の逃げからの山岳ジャージは出ない。そう思っていたのですが、……居ましたね。

マルタンがいました。

確かにマルタンだったら山岳賞は狙うことが出来ます。

多分、当初は総合上位を狙っていたと思うのですが、第1週のギャップが大きかったので逃げによる山岳賞狙いに切り替えたのだと思います。

ブエルタではティム・ウェレンスに敗れて2位というステージが最高順位でしたが、ここまで連日逃げに乗って戦えるというのは、色々と可能性を感じさせてくれた1年であったと思います。

ドーフィネでの表彰台3位を始め、ワールドチームに移籍してからチーム内でのポジションも含め、順調にお膳立てが進んでいる印象です。

今年のステージ優勝こそありませんでしたが、来年にはキャリア最高のステージ勝利を挙げることも出来るのではないかと期待します。

しかし一方で、3週間通して戦うグランツールでの表彰台を狙うのは難しい選手なのかなとも思います。

明確に唐突なバッドデーがある訳でなく、3週間の内でジリジリと調子を落としてストンといくタイプだと今のところは思っています。

器用貧乏なモビスターとバーレーン・マクラーレン

「バーレーンがモビスター化している」という考察はまた別記事で書く予定なのですが、ここではどちらかというと「モビスター大丈夫か?」というニュアンスで少しだけ。

ブエルタは開催国がスペインということで、ホームチームであるモビスターは毎年それなりの戦力を投入するレースなのですが、今年はブエルタまでにチームで1勝しか出来ていないということで、チーム全体としてブエルタに並々ならぬ意気込みを入れていたような気がします。

同様に、バーレーンも当初、ワールドツアーでは1勝(総勝利数は8勝)しか挙げておらず、ジロでヤン・トラトニックが勝利して、ようやく2勝目という状況でした。

両チームに共通するのは「器用貧乏」という点で、これは総合成績を優先するチームにとって容易に起こり得る状況です。

それは戦力の殆どを投入したエース選手が勝たない限り、勝利数も伸びてこないという状況です。

そして、総合系のエースはスプリント系のエースとは異なり、勝負が先頭集団の後ろかつ複雑に展開することが多い上、ライバルも強力な場合が多く、思うようにステージ勝利に届かない場合が増えるのは必至です。

それでも、エースが総合表彰台に立てば露出が増えるので最低限のハードルはクリア出来るのですが、4位以下だと悲惨です。

ブエルタ放送に並行してJSPORTSで「ツール・ド・フランス21日間の裏側」という番組をやっていますが、表彰台に上がったリッチー・ポートはステージ勝利をしていないもののいくらか取り上げられていますが、4位のランダに至っては少しも出てきません。

そしてバーレーンは、ジロではビルバオが総合5位・ブエルタではプールスが総合6位と、どの大会でもエースはそれなりの成績を残しているものの、チームの露出という点では殆ど今年はありませんでした。

同様に、モビスターもエースのエンリク・マスがツールで5位・ブエルタでも5位ということで決して悪くないのですが、勝利することが出来ていません。

これは去年からの総勝利数の差という観点から考えると、モビスターの方が悲惨です。

(※モビスター総勝利数:2019年21勝→2020年2勝)

去年はジロでカラパスが優勝した上に、バルベルデ・キンタナで勝利数を稼ぐことが出来ていましたが、今年はカラパス・キンタナ・ランダとエースクラスが一気に抜けた上、バルベルデの調整も去年ほど上手くいっていません。

そして、代わりのマスとソレル……ソレルで今シーズンの2勝をモビスターは稼ぐことを出来ましたが、本来ソレルは総合エースとしての活躍が期待されている選手ですから、タイムの遅れによってマークを外れた状態でのアタックによる勝利は想定されているものではありません。

ジロのスタートリストを見ても、バーレーンは戦力の割き方次第でもう少し勝利を目指すことが可能な戦力が揃っていると考えますが、モビスターは大丈夫なのだろうかという所です。

ただ、相変わらずチーム総合だけはキチンと獲っているというのは救いでしょうか。

「スプリンター」ログリッチと「クライマー系総合」カラパス

ここまでで既にログリッチとカラパスについては述べてきたのですが、2019年のブエルタ覇者とジロ覇者のぶつかり合いという点でもう少し触れておくことがあります。

まずは「アシストの差」について、これは少しカラパスが可哀想になった点です。

今年のブエルタはスケジュールとメンバー編成的に、ツールメンバーがスライドするケースが多く、ユンボに関しても殆どがツール組のスライドでした。

尚且つ、そのアシスト陣の要であるセップ・クスとジョージ・ベネットがブエルタを通して仕事をすることが出来たという点で、ツールまでとは言えなくとも、ブエルタでもユンボは最強の山岳アシストを揃えることが出来ていました。

一方で、Ineosはフルームが形式的にはエースポジションであったものの、実際にはまだまだ調整不足であり、せいぜい平地でのアシストの仕事をこなすのが精一杯でした。

それで山岳でのアシストは実質的にはイヴァン・ソーサにかかっていたのですが、大会を通してソーサが調子を上げることはありませんでした。

(多分、落車もしてなかったと思います。)

さらに、Ineosは第8ステージまでに2名のアシストがレースを去ってしまったこともあり、カラパスがリーダーとなった直後から少ない人数でレースコントロールを強いられたのも運が無かったです。

結局、ブエルタを通して期待通りの活躍をしたアシストがアマドールと辛うじてファンバーレぐらいであって、もう少し手札があれば、前待ちからの早めの仕掛けなどログリッチを大きく崩す選択肢も取れていたはずです。

ちなみに、個人的には特にフルームの状態がもう少し良いものだと思っていました。なんせ、あのIneosがエースナンバーを与えるぐらいですから。

それこそトップ10には最終的になんやかんやで食い込むぐらいには山を登れる状態までもってくるのではないかと予想していたのですが、あれでは来年すらまだ不安かもしれません。

大腿骨骨折という大怪我から復帰しただけでも凄いのですが、やはりフルームにはそれ以上を期待してしまいます。

ログリッチという「スプリンター」総合選手

ここまでで既に伝わってしまっているかもしれませんが、私はログリッチという選手をイマイチ信用することが出来ていません。

しかし、2019年ジロ3位・ブエルタ優勝、2020年ツール準優勝・ブエルタ優勝という文句なしに素晴らしい成績を残している選手を何故ここまで信用できないのか。

私なりに考えてみたのですが、それはログリッチのレーススタイルに対して抱く印象なのではないかと思いました。

ツール2020の総括の部分に少し書いたのですが、ログリッチから大きく仕掛けてタイムを奪う場面というのはツール、そしてブエルタを通してすら遂に見ることが出来ませんでした。

今大会、ログリッチはTTを除くステージ勝利を3つ挙げましたが、その何れもがスプリント決着、つまりゴール手前数kmになってからエース同士のスプリントの打ち合いにより掴んだ勝利でした。

それに関係してゴール前のログリッチの姿というのは、スプリントでもがきながら殆ど下を向いているか、口を開けて苦しそうに帰ってくるか、大体この2パターンでどれも印象が弱いのです。

このブエルタではstage8でカラパスとアタックを打ち合って、手を挙げてゴールに入ったぐらいでしょうか。しかし、私もこうやって書きながら振り返りをするまではログリッチの勝ち方を忘れてしまう程度には印象に残らないのです。

「この勝ち方がいいのか」ということは置いておいて、結果としてこの勝ち方で取れる秒差というのは最後のスプリントで生まれる数秒~数十秒の秒差と、最大10秒のボーナスタイムです。

これを数ステージ積み重ねて、さらにTTでクライマーからは山で失う分のタイムを稼ぎ、TT系からは積み上げたボーナスタイムを守って勝つというのが、ログリッチの総合スタイルだということです。

これは、今までにはいなかった総合系選手のタイプです。

そう考えると、アングリル後のインタビューでログリッチが「スプリンターの自分には厳しかった(笑)」と自ら答えたのはあながち冗談ではないかもしれません。

実は、ログリッチというのは「かなり登れてTTが得意なスプリンター」というのが適切な表現である気がします。

ログリッチというのはスプリンターなのだと。そう考えれば、ある意味こういう戦いをしてきたのも納得がいきます。

ログリッチというのは、フルームでもなければキンタナでもなく、デュムランでもないのです。そして、バルベルデとも言えない。どちらかというと、サガンに近い存在なのだという事です。

「超登れてTTが強いサガンっぽい選手」がログリッチだと考えたら納得です。

当然、ゴール近くまでは味方アシストのお膳立てがあった方が楽に戦うことが出来ますし、山に単騎で正面から挑んでいくと取りこぼしが生まれてしまう。

サガンがマイヨ・ヴェールを取るように、ログリッチも総合ジャージを獲得してきたのだと考えることで、私もようやくフェアにログリッチという選手を見ることが出来そうだと気付きました。

カラパスという「クライマー系」総合選手

ブエルタ開幕前の予想では、「純クライマー」が勝つという予想でカラパスだという予想をしたのですが、どうもカラパスというのはクライマー「系」の総合選手であって、純正のクライマーではないのではないかと思い直しました。

純正クライマーの総合系選手というと、キンタナやランダ、ロペスといった選手が私の中では分類されているのですが、カラパスという選手はそれらの選手に横並びで分類されないというのが現段階での私の考えです。

(※上で挙げた純正クライマーは「登り」が得意という意味でも純正であって、例えばバルデや二バリは「下り」が得意な選手なので純正と私は呼ばないです)

その差は何かというと明確な基準はないのですが、平均的にTTが純正クライマーより少し早いのが私の中での「クライマー系」です。

ちょうど、ベルナルやエンリク・マス(そしてピノ?)が同じ分類になると私は考えます。

そして、この「クライマー系」総合選手の何が争いにおいて利点になるのかというと、TTが得意な総合系選手からTTでタイムをそこまで失わないというのが利点です。

特に近年のグランツールではTTが強い選手でも連日山をそれなりに登れてしまうので山岳ステージで差が大きく付きにくい傾向にあると考えますが、一方でTTでは簡単に分差が付いてしまうという状況は変わっていません。

「クライマー系」の総合選手達が有利な点は、山岳で逆転可能なラインをそのTT能力によって守ることが出来る点にあり、それは近年のライバル選手達の特性とも相まって上位に食い込むことが増えて来たのではないかと思います。

一方で、山岳能力は純正クライマーよりその分低くなっていると考えます。

何故ベルナルが今年のツールは駄目だったのか、という理由についてはまだハッキリとしませんが、もしかしたらそういう部分が実はあるかもしれません。(ベルナルに関しては分からない部分が多いです。)

カラパスを「クライマー系」だと思い直したのも、「アシストの差」はあれど、もう少し山でカラパスが活躍すると考えていたからです。

これはもうかなり個人的な感覚ですが、最後の山頂フィニッシュであるstage17ではカラパスの、自身の山岳能力そのものに対する躊躇がアタックのタイミングを後ろに遅らせたと感じました。

観ている側としては十分行けるのにと思っていたのですが、一発で仕留めるタイミングを少し測り過ぎた印象でした。

まあ、これはもはやイチャモンですがね。

ともかく、このTT能力が少しばかり高い「クライマー系」総合選手というのは1回山岳で大きな秒差を付けることさえできれば逃げ切る・追いつくことが出来るという事で、TTの比重が高い大会でも十分総合成績を狙うことが可能な選手だと言えると思います。

来シーズンの展望と期待

今年はコロナの影響で様々な部分で変則的になったシーズンでした。来シーズンも依然としてコロナは考慮されるでしょうが、概ねスケジュール通りに進んでいくと願います。

そして、エヴェネプールやファンデルプール、ポガチャル、ヒルシを筆頭とした若い世代は、来シーズンも引き続き活躍すると思います。彼達の能力は本物です。

個人的には、ジロでの活躍が目立ったアクセス・メルクス出身の選手達と、ベルナル・ポガチャルと続いたラヴニール上位勢に期待しています。

(※ゴデュやソレルも、もう一段階高いレベルで活躍して欲しいです。)

一方で、チームを移籍するフルームを始めとしたベテラン選手達がその勢いにどう対抗していくのかは気になります。

今シーズンはニューフェイスが続々と頭角を現す中で、一世代を築いたフルームやキンタナといった選手達の偉大さというものをひしひしと感じたシーズンでもありました。

やはり、どうしても見慣れた30歳以上のベテラン選手達にも頑張って欲しいと思ってしまいます。

そして今年のスケジュールで例年通りの調整を行うことが出来ずに苦しめられた選手も、来シーズンは言い訳出来ないでしょう。

また強いて一人、誰かを特別取り上げるとなると、やはり私はミケル・ランダでしょう。

スポーツ選手として心身のピークを迎え、契約最終年でもあるランダはバーレーンという戦力的には非常に面白いチームに属しています。

これが吉とでるか凶とでるかはまだ分かりませんが、純クライマーが有利とは決して言えない来年のツールも、逆に可能性が見えてきました。

弱点のTTも多少改善されました。後はチーム監督がモビスターの二の轍を踏まなければ全然表彰台もあり得ます。

来シーズンこそはランダがツール表彰台に上がっているところが見たいですね。

では、さよなら。

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