【評価★5】映画『ひつじのショーンバックトゥザホーム』感想と鑑賞のススメ

ひつじのショーンレビュー

突然ですが、「オススメの映画は?」と聞かれたときに何て答えますか?

これは難しい質問ですよね。

だって相手の嗜好やセンスが分からないと、「オススメ」なんて出来ないのですから。

しかし、私はこの映画『ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~』は本当に誰にでも自信を持ってオススメ出来る映画だと思っています。

老若男女、芸術的センス、文化・国・言語……、そんなの関係なしに誰にでもオススメ出来る映画です。

間違いなく、素晴らしい作品です。

映画情報

映画『ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~』予告

原題:Shaun the Sheep Movie

上映時間:85分
製作国:イギリス、フランス

監督:マーク・バートン、リチャード・スターザック
脚本:マーク・バートン、リチャード・スターザック
原案:ニック・パーク

製作会社:アードマン・アニメーションズ、スタジオカナル

以上、wikipedia参照。

映画自体の情報としては、この程度でいいと思います。

特に注目すべきは、85分という短い時間と、原案の「ニック・パーク」という人物です。

ここで、補足しておきたいことがあります。

イギリスのクレイアニメ『ウォレスとグルミット』

映画『ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~』予告編キャプチャ:ショートアニメの映画化
映画『ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~』予告編キャプチャ:ショートアニメの映画化

まず、この映画は単体の作品というわけではなく、『ひつじのショーン』というショートアニメの映画作品だということです。

さらに言うと、この『ひつじのショーン』自体も『ウォレスとグルミット』というアニメーション作品のスピンオフ的な立場ですので、元の元をたどれば『ウォレスとグルミット』が原点ということになります。

では、この『ウォレスとグルミット』がどんな作品なのかと申しますと、wikipediaを見て頂いても構わないのですが、

①イギリスの

②「ニック・パーク」が卒業制作で手掛けて

③熱狂的なファンを世界中で獲得した

④クレイアニメーション作品

なんです。

これについては書きたいことが多過ぎるということに気付いたので、『ウォレスとグルミット』を語る記事みたいなのをまた書きます。

簡潔にその凄さを伝えるならば、

「ニック・パーク」はイギリスの「宮崎駿」

なんだと言っておきましょう。(もちろん、人格やキャラのキツさは違いますがね)

実際、この二人は対談を行っていて、親交も深いようです。
ジブリとアードマンスタジオも交流が深いです。

(↑この対談の内容は他のメディアを通して断片的には知っているのですが、元の内容は知らないです。)

ですから、今からオススメする『ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム』もニック・パークの血脈を引いていて、宮崎駿作品のように高い芸術性とエンターテイメント性を両立しているんだということです。

感想と鑑賞のススメ

【評価】★★★★★

子供向けアニメ映画だからと言って舐めて貰っては困ります。

冒頭に少し述べましたが、この作品の凄いところは「誰にでもオススメ出来る」という点なんです。

もし、私が「オススメの映画は?」と聞かれた場合、迷わずにこの映画を答えます。

相手が誰であっても、です。

例えば、相手が拗らせたメンドクサイ映画好きであっても、この映画の芸術性は一定の評価をせねばいけないはずです。

また、映画をあまり見ない、座ってられないような人でも時間が短いので気軽に最後まで見れます。

元々子供向けアニメなので、小さい子に見せても全く問題ありません。しかも、親も楽しめます。

カップルで見ても喧嘩になることはないです。ただ内容が素晴らしいので、ムードが作れないかもしれないのは弱点かも知れません。

これって、凄いことでしょ?誰に対しても80点以上が出せるんですよ?

だからこそ、私はオススメしてるんです。

ただ、そう……1つだけ嘘つきました。

唯一勧めることが出来ない人がいて、「エログロ・血みどろスプラッター・バイオレンス」系しか見ない人は退屈かもしれないです。

まあ、そういう人もこの映画を見ることで鬱屈した心を開放できるかもしれません。(先天的な人はむしろイラつくかもしれないのが怖いです)

心をクリアにしてくれます。

仕事に疲れた独身オタクおじさんが、日曜日に「プリキュア」で己を開放するみたいにね。

……これは違うか(^^;

さておき、もう少し凄さを説明します。

誰でも・どこからでも分かるシンプルさ

映画『ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~』予告編キャプチャ:本当に名作です
映画『ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~』予告編キャプチャ:本当に名作です

「あらすじを書くべきか、書かないべきか」ということはこの作品に限らずどうしようか悩んでいるのですが、今回は迷わず書きませんでした。

なぜなら、この作品は途中から見ても何をやっているのかが大体分かるから

もし、どうしても気になる人がいれば、先に貼った予告編を見て下さい。話の筋は予告編で分かってしまいます。

そしてその域に作品が達するには何重にも凄いことが起きているんです。

①ストーリ展開が王道で、その世界観の中で無理がない

②キャラクターがすぐに区別できる

③映像だけで話が分かる

①について、これは本当に見習いたいなと思う所ですが、海外の大衆向け作品はストーリー展開(流れ)が破綻することが本当に少ないんですよね。

映画『ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~』予告編キャプチャ:王道の展開
映画『ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~』予告編キャプチャ:王道の展開

その世界観の制約の中で許されている表現を使って、大筋の展開と伏線の回収を違和感なしに行うという話作りの基礎が徹底されているんです。

(↑経営学と同じで、ここら辺の基礎を海外はアカデミックかつロジカルにやってるんですよ、多分)

だから、いい意味で「予想を裏切らない」

ですので、どこから見始めてもその大筋を追えるのです。

これは中々難しく、これだけでもエンターテイメント作品として合格点が出ます。

②について、キャラクターがすぐに区別出来る=個性があるということです。

映画『ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~』予告編キャプチャ:悪い人
映画『ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~』予告編キャプチャ:悪い人

海外の映画を見てるときの「これ誰だ?」や、日本の映画を見てるときの「君何してるの?」みたいなことがありません。

これは、キャラクターの造形はもちろん、立ち位置(役回り)や行動がキチンと過不足なく差別化されているということです。

これの何が素晴らしいかと申しますと、

「誰が何をしているか・考えているか」ということがすぐに分かる

ことなんですね。

ひいては話が分かりやすくなりますし、作る方も話が作りやすく、意図が伝えやすいので、面白さが伝わりやすい。

漫画でもなんでも、「キャラクター」が重要視される理由の一つのような気がします。

③について、これが一番この映画の凄い点です。

この映画、音声と字幕が無くても話が分かるんです。

なぜなら、そもそも言葉での会話がないから

凄くないですか?

映画『ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~』予告編キャプチャ:分かりやすいリアクション
映画『ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~』予告編キャプチャ:分かりやすいリアクション

音声は相槌のような声や、動物の鳴き声がほとんどで、後は画面を見ているだけで何をしているかが分かるのです。

画での表現の一種の極致と言いますか、情報はそういう風に鑑賞者に伝えることが出来るのかと感動せざるをえません。

この映画は本当にシンプルな故、中々到達出来ないレベルにまで作品性が研ぎ澄まされているのです。

舐めてかかると、バッサリと斬られてしまいますよ。

補足:なぜ『ひつじのショーン』の方を勧めたのか

映画『ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~』予告編キャプチャ:ひつじのショーン
映画『ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム~』予告編キャプチャ:ひつじのショーン

もしかしたら、なぜ私がまず『ウォレスとグルミット』ではなく、『ひつじのショーン』をオススメしたのかということを疑問に思った人がいるかもしれないので、少しだけ。

『ひつじのショーン』にニック・パークは『ウォレスとグルミット』ほど制作内容に関わっていないのに、なぜ勧めたのか?と疑問に思われているかもしれない。

例えるならば、なぜ『もののけ姫』や『ナウシカ』を最初にオススメせずに、『思い出のマーニー』をオススメするんだい?と思われているかもしれないということです。

これについて答えると、私は主軸となっているキャラクターの関係性、ひいてはストーリー展開の違いから『ひつじのショーン』を勧めました。

『ウォレスとグルミット』はタイトルの通りの関係性で、博士(ウォレス)と犬(グルミット)が相棒で、二人で何か目的を達成するという話作りになります。

一方で『ひつじのショーン』はもう少しキャラの関係性が遠くて、牧場主と羊と牧羊犬という風に少しビジネス的な関係が入ってきます。

彼らはあまり普段べったりと仲良くしているものでないのですが、長編の映画版が制作されるにあたって珍しく「家族愛」みたいな繋がりをテーマに持ってきたので、そのギャップが個人的に作品全体としての完成度を高めているなと思います。

そしてそれはそのまま作品に表れていて、「ビジネス的な関係に身を置き過ぎると本当の家族愛を見失ってしまう」というテーマは「バック・トゥ・ザ・ホーム」というタイトルとエンディングに表現されているんです。(これは邦訳が素晴らしい)

エンターテイメント作品としてトップクラスにまとまっているから、見て下さいってことです。

『チーズホリデー』はまさにアート

また、端的にこういう風にも言えると思います。

『ウォレスとグルミット』は、アート性が全体的にもう少し強い。

これを長く説明することは今回避けますが、『ウォレスとグルミット』を世に知らしめることとなった『チーズホリデー』というニック・パークの6年かけた卒業制作であり、デビュー作を見て頂ければ分かります。

彼の「好き」が詰まっています。

ストーリーなんて「チーズを求めてロケットを作って月に旅行する」という、文字だけで見たら滅茶苦茶なものです。

しかし、アートなんてそんなものです。

だからこそ、世界で熱狂的なファンを獲得することが出来ました。

そしてそれ以降の作品も、エンターテイメント性との両立を図っていながらも、どうしてもアート性が滲みだしています。

これは彼が素晴らしいクリエイターだからなのですが、同時にその点でもう少しだけ万人受けしないのではないかと思い、「オススメ」はしないのです。

まあ、いずれにせよ『ウォレスとグルミット』は再度取り上げなければいけないですね。

と、ここまで勧めておきながら、私が見る限りNetflixやU-NEXTといったサブスクにこの映画が置いてないんですよ!!

どうなってんだ!

まあ、『ウォレスとグルミット』の映画は見れるので、まずそれから見てもいいかもいいと思います。

コロナの第2波来た時の巣ごもりに是非。

では、さよなら。

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