【ロードレース2021】バーレーン・ヴィクトリアスの戦力とグランツール展望の私的分析

バーレーン・ヴィクトリアスチームロゴ

ロードレース2021年シーズンが始まって、最初の記事です。

シーズンインしてからビッグネームも出揃い、いよいよ自転車ロードレースの季節です。

ここまでほとんどのワンデイ・ステージレースの結果・展開と映像をチェックしてきましたよ。今年もグランツールが楽しみです。

その上で、私が今シーズン一番応援しているチーム、「バーレーン・ヴィクトリアス」について個人的な所感を書いておこうと思います。

まあ、私のロードレース記事は特に誰にも読まれていないのですが……、書きたいので書いておきます。

バーレーン・ヴィクトリアスの戦力について

バーレーン・ヴィクトリアス(以下バーレーン)は、2020年でスポンサーのマクラーレンが撤退したので2021年から「バーレーン・ヴィクトリアス」とチーム名が変更されました。

その名の通り、今シーズンは勝利を多く勝ち取って欲しいものです。

そして私が何故、数あるチームの中で特にこのチームを応援しているのかと言いますと、

私が現役選手の中で一番好きな「ミケル・ランダ」がエースをしているからです。

加えて日本人として忘れてはならないことに、バーレーンはあの「新城幸也」選手が所属しているチームでもあります。

日本では、後者の理由でこのチームに注目している人が多いのではないでしょうか。

ちなみに、つい先日全ステージを終えた「Itzulia Basque Country」では新城選手がアシストとしてランダを守るというシーンが見れて、私としては非常に嬉しかったです。

まさか、そんなシーンが見れるなんてって感じでした。感激です。

さて、そういう理由で私がどうしても応援してしまうバーレーンなのですが、レースの観点からも個人的には非常に面白いチームになっていると思います。

以下にグランツール主力選手と直近の大きな成績を並べてみます。

ミケル・ランダ

ツール2020総合4位、(モビスター所属時)ジロ2019総合4位、ツール2019総合6位

ワウト・プールス

ブエルタ2020総合6位

ペリョ・ビルバオ

ジロ2020総合5位

ディラン・トゥーンス:ツール2019stage6勝利

マテイ・モホリッチ:ジロ2018stage10勝利

ダミアーノ・カルーゾ:ツール2020総合10位

以上のようにバーレーンの戦力というのは、基本的にランダをグランツールのエースとして中心に据えた上で、

同じくSky移籍組のワウト・プールスやバスク出身のビルバオをエースとしてグランツール総合を狙いつつ、トゥーンスやモホリッチでステージやワンデイレースを狙っていくスタイルになっています。

また、上には挙げませんでしたが、グランツールという観点からは今年加入したジャック・ヘイグとジノ・メーダ―は非常に重要なアシスト選手になるでしょうし、ソンニ・コルブレッリは経験も豊富で登りも多少こなせるスプリンターですので、隙あらばスプリントでステージを狙うことも出来ます。

総合してバーレーンは、ワンデイやグランツールのフルメンバーを見たときに「おっ!いいメンツだね」と思うような選手達が揃うチームだと個人的に思います。

しかし同時に、どの選手も表彰台やステージ勝利に今一つ手が届いていないという印象を受けるチームでもあって、だからこそ応援してしまうのですが、ヤキモキしてしまうというところです。

良く言えば「いつでもチャンスがある総合的なチーム」、悪く言えば「全てを逃す中途半端なチーム」といったところでしょうか。

それで、以下にチームとしての戦略や戦術の個人的な分析を行います。

モビスター化しつつあるバーレーン

「バーレーンがモビスター化しつつある」という説は、去年のツール感想を書いたあたりからずっと私が思っていることです。

この「モビスター化」という言葉は近年特に際立っているモビスターの以下のような特徴を指しています。

・チーム総合時間優勝

・ダブルエース作戦

・アシストの前待ち作戦

そして、これらの特徴は根本的なチーム事情が似ているからこそ同じような状況になりつつあるというのが私の主張です。

チーム総合時間優勝

グランツールをある程度見ている人は知っている光景だと思うのですが、モビスターというチームは大体最後にチーム全員で表彰台に立っているチームです。

これは「チーム総合時間」で優勝しているからそういう光景になっているのですが、この賞を狙いに積極的に頑張っているのがモビスターだということも有名な話です。

実は、私もこの時間をどういう基準で測っているのか未だによく知らないのですが(大会によっても微妙に異なっているらしい)、平均的にタイムが早く、時間差がばらけすぎていないチームが取っているという感覚です。

そんな「チーム総合時間」ですが、実はモビスターの影に隠れて上位に食い込んでいるのが、このバーレーンというチームなのです。

例えば、二バリがGCを狙ったジロ2019や、ランダがGCを狙ったツール2020は、共に「チーム総合時間」は「3位」となっています。

(※両レース共に1位はモビスター。ちなみにツール2018・ブエルタ2018はモビスターに次ぎ「2位」までこぎつけている。)

さらに、この「チーム総合時間」で上位のチームを詳しくみてみると、全員の総合順位が高めだというデータが示唆されます。(これは計測方法からも必然的にそうなるはずです。)

このような状況になるのはアシスト(複数エースを含む)が自チームのエースに最後までついていけた時間が長いとも言い換えることが出来ます。

例えば、バーレーンはジロ2019ではカルーゾ・ポッツォヴィーヴォ、ツール2020ではカルーゾ・ビルバオといったアシストが比較的最後までエースの周りにいた記憶があります。

そして、モビスターは複数エース体制と平地もこなす優秀なクライマーアシストがよく採用されています。

このチーム総合賞をどう評価するのかは難しいのですが、「アシスト陣が優秀」とも言えますし、見方によれば「役割分担が明確になっていない(エースへの献身が不十分)」とも言えると思います。

要は、「エースクラスとは真っ向勝負出来ないけれども、平均的に能力が高い」選手が多い故にチーム総合時間の順位が上がっているのだと私は考えます。

ダブルエース作戦・前待ち作戦

そのようなチームにおいて何が起こるかというと、この「ダブルエース作戦・前待ち作戦」が決行されることが多いと考えます。

何故ならば「エースクラスとは真っ向勝負出来ないけれども、平均的に能力が高い選手が多い」状況は、

・「エースに(一時的でも)並ぶようなアシスト選手が存在している」

・「アシストが最後の戦いには残れないため、予めエースの前に出しておく」

という状況に繋がりやすいからです。

実際モビスターについて、以前に私が感想・分析を書いたジロ2019では、本来単独エースであるはずのランダが意図せずにダブルエースとしてカラパスを総合優勝に導く結果になりました。

(加えて、その前からバルデルデ・キンタナ体制が好まれていた。)

また、前待ち作戦をモビスターが多用するというのも有名な話で、ジロ2019のみならず、ソレルやアマドール(移籍前)が前でエースを待っているという光景を見てきた人は多いのではないでしょうか。

バーレーンについても、特にランダがエースとなった2020年からそのような作戦(状況)が見受けられます。

例えば、直近の「Itzulia Basque Country」のstage4において、下って平坦、ゴールと続く前の山岳中腹で飛び出したランダがキャッチされ、今度はダウンヒル区間で飛び出したビルバオがそのステージでランダに55秒差をつけて、総合順位が逆転してしまうという展開がありました。

まあ、グランツールとは異なるので一概には言えないのですが、ビルバオは直近のジロでも総合成績を残していることもありますし、TTもランダより速いので、こういう展開があれば実質的にダブルエース体制となって、ランダがジロ2019のような役回りになる可能性があります。

それでも、カラパスのようにビルバオがジロを取りきることが出来れば問題ないのですが、やはり登坂能力ではカラパス・ランダの方が上ですので、そうなれば共倒れになりそうな気がします。

また、前待ち作戦についてはツール2020stage18でビルバオとカルーゾを前に出すという作戦があったのが印象的です。

この作戦で、ランダは一時最大40秒ほどの秒差を後続につけることが出来ました。

(最終的にはユンボのペースメイクで捕まりましたが。)

そして個人的には、バーレーンの「前待ち作戦」については非常に賛成です。

それはランダが脚質的に平坦・下りで多く消耗してしまうことと、それを前待ちアシストで補助することで今度はどの山岳でも攻めやすくなるので長所を生かすことができるからです。

加えて、バーレーンにはモホリッチやトゥーンスを始めとした逃げ屋適正のある選手が揃っています。

ステージ・展開毎にモホリッチ・トゥーンス・ビルバオ・カルーゾ・ヘイグあたりを組み替えていけば上手くハマりそうな気がします。そういう機能をさせるためにもランダには単独エースを保証すべきです。

2021年バーレーン・ヴィクトリアスのグランツール展望

今年、ランダはジロとツールのダブルツールに望むことを発表しています。

ダブルツール自体は2019年の成績が示すように、問題ないはずです。

そしてステージのレイアウトを見る限り、本命はやはりジロであり、今シーズンイタリアで行われた「Tirreno-Adriatico」の結果が示すように、ポガチャル・ログリッチがいないジロであれば十分に総合優勝出来る可能性があると思います。

また、ツールも展開次第では表彰台を狙うことが出来るのではないかと思います。

チーム全体としては、ここまで述べてきたように能力が高いアシスト陣が揃っており、フルメンバーであればユンボやイネオスにも何とか対抗できる戦力であると思います。

それはユンボが最強アシスト陣を揃えたツール2020で証明されています。

ツール2020を通して完璧にレースをコントロールしたユンボに対して、唯一戦略的に攻撃を仕掛けることが出来たのはバーレーンだけでした。(stage17、stage18)

ランダ自身も、今年の調整の仕方からしても相当ジロ・ツールのグランツールだけに焦点を合わせて調整していますので、これには期待せざるを得ません。

今年がバーレーンでの契約最終年ということに加えて、年齢的にもスポーツ選手としてはピークを迎えています。

今年こそは頂へ立つことを願っています。

また、同じくSky移籍組のプールスについても、ランダと立場が似通っています。

今年、ツールに出場することは確定していますが、個人的にはもう一度ブエルタにエースとして出場しても良いのではないかと思います。

去年のブエルタでは序盤のステージこそ苦しんで大きく順位とタイムを落としたものの、山岳での強さを武器に、安定して順位を上げていきました。面子にもよりますが、表彰台圏内の選手であることは間違いないです。

ただ、リエージュを勝っているだけに、ワンデイの方にも力を割いているのでこれは分かりません。

いっそのこと、レース展開がドラマティックなブエルタは総合狙いを捨てて、チームとしてステージ狙いに照準を合わせてみても面白いかもしれません。

中々展開と噛み合って、1勝は挙げることが出来そうな気がします。

また、そうなれば新城選手が選出されれば、逃げなどを見るチャンスがありそうですが……どうでしょうね。もうそういう事はないのでしょうか。

いずれにせよ、2021年シーズンもロードレースが楽しみです。

では、さよなら。

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