就活で悩める大学生を救いたい。
大学4年編、留年編に続いて、「シューカツ!」シリーズで最後のシーズン、既卒編です。
果たして、私はどうやって就職に至ったのでしょうか……、なぜ辞めたのでしょうか。
目次
3回目:崖っぷちの既卒就活
4月になり、私は行き先もないまま大学を卒業してしまいました。
既卒は、社会に所属がありません。
正真正銘、何者でもありません。
ままごとを続けていても作家になれる見通しは一切なく親からの圧力もピークに達していたので、企業に就職して早く「社会人」になるしかない状況にありました。
それで、もう就活を失敗できない私は前回の反省も踏まえ、地元エリアの中小IT企業に絞って就活することに決めました。
業種をITに絞った理由と、実際とのギャップはまた別の記事に書きます。
今回は、記事の趣旨的に、中小企業に絞った理由を掘り下げます。
私が中小企業に絞って就活した理由は以下でした。
①社員人数の少ない中小企業ならば、「自分」をキチンと見てくれるという淡い期待。
→大企業だから「自分」を見てくれなかったのだと、言い聞かせていたところがあった。
②「既卒」の時点でハンデが大きすぎると思った。
:既卒ながらも一応新卒扱いでしたが、説明会・プレエントリーの時点ですらこれまでの待遇とは明らかに違うと感じられるほどだったので、流石の私も路線を変更せざるを得ませんでした。
③学歴は悪くはないので、中小企業ならば選び放題だと思っていた。
:社会に出ると学歴は全然価値がないことに気づいた。というのも「学歴」というファクターが効果的なのは、一般的に言われている場面ではないです。
前回の記事では自分が「何者でもない」ことに気付いたということが書かれていますが、この時点では、それでもまだ心のどこかで社会と就活を舐めている部分がありました。
そう簡単に人は変わらないのです。
そんな当時の危機感がない私と異なり、傍から見れば賢い皆はすぐに気づくはずです。
「そんなステータスで一体どんな企業が採用してくれるの??」
既卒就活の現実
既卒就活の現実は甘くありませんでした。
「内定が出るだろう」と思って応募した中小企業でも、普通に落ちます。
「既卒」という不名誉な称号は、私のただでさえ低いステータスのランクを、さらに2段階ほど減らしていたので当然です。
しかし当時、既卒(+留年)で就活することに関して、私は最初こう思っていました。
「もう一年留年(浪人)したのと変わらない。むしろ、浪人は無駄な高校の勉強をもう一年しているのだから、同じ期間の長さであれば既卒の方が評価されるべきだ」
「無駄な留年をするより、潔く卒業した方が良い」
「既卒だが、年齢的には2留した人間と同じだし、就活上での扱いも新卒と同等だ」
おそらく、この記事を読む人は私より賢いと思いますので分かっていると思いますが、これは100%間違っています。
そうです。
心苦しいですが、断言します。
「既卒」というステータスは、「大学時代に何も結果を残すことが出来ず、その努力も放棄した」という証明に他なりません。
だって、そうでしょう??
「既に大学を卒業出来るだけ勉強し、時間も与えられたのにも関わらず、次のステップとして就職先や進路が決まらない」
のですから。
やはり客観的に見ても、既卒という称号にはマイナス要素しかありません。
そうして、何回か落とされていく内に、私は大きな勘違いしていたことに途中で気付きました。
既卒での就活は、偉そうに「選ぶ」側ではなく、謙虚に「拾っていただく」側なのだと。
……。
既卒で就活を行っている人は、今一度、「既卒」についてシビアに考えて下さい。
特に今は私の時代と既に違って、コロナで採用が渋られるのですから。
ブラック企業に身を捧げる必要は全くありませんが、職歴を作る・社会を経験するという目的で、とりあえず1年ぐらいブラック企業を利用してみるというのは一つの手のように思います。
幸い、日本社会からブラック企業は当分の間、消えそうにありません。(コロナ次第では、それすら焼け野原になっているかもしれませんが……)
ともかく「新卒扱い」でも、既卒であれば新卒同等の待遇が受けられるわけではないことに留意すべきです。
ステータスが低い人間ほど「今」
既卒就活をするにあたって、必ずどの企業にも質問されたことがありました。
「この1年何をしていたんですか?」
という質問です。
そして不思議なことに、この質問は1留で就活していた時には1度もされたことがありませんでした。
これが示唆するのは、多くの企業で既卒は空白期間とみなされるが、1年間の留年・浪人ぐらいは許容されているということです。
(↑それは人事の中にそういう人がいる場合も珍しくないからだと思います。もしくは「2年」を境に、もっともらしい理由が必要になるのかもしれません。)
この事実からも自主性がなくステータスが低い人間はそのまま大学生活を延長しても何を成し遂げるわけでもないので、早く就活するに越したことはないですが、
何よりも私が「今」頑張ることを勧めるのは、
どうせ就職した後も苦労するだろうから「今」なのです。
社会人生活と大学生活は、自分が就活生の時に想像していたよりも別のステージです。
全く別の辛さや楽しいこと(?)が待ち受けています。
就活は大変なものですから、人はどうしても入社した後のことまでは考えが回りません。
とりあえず一番条件が良さそうな企業を選んで、そのレールに乗っかって安心してしまいます。
大企業に受かるようなポテンシャルのある人間ならばそのレールに無理矢理しがみつくこともできるのですが、
私が懸念しているのは、「ステータスが低い人間はそのように生きることが出来るのか?」ということなんです。
(お前が言うな^^;)
当然私は、皆が自分とその在りかを見つけて息長く働くことを願っていますが、そんなに上手くいくことは珍しいのも知っていますし、私は実際に会社を辞めました。
そうなってしまった際に、1年・2年という歳月は「今」よりも価値が高くなっているはずなので、将来への保険という意味でもステータスが低い人ほど「今」頑張るべきだと思うのです。
中小企業こそ人を見る余裕はない
もう一つ、どの企業にも必ず質問されたことがありました。
「内定がでれば、今すぐ働けるか?」
という質問です。
この質問は、「ウチで働く気がありますか?」という意味と同義であると考えて下さい。
既卒就活を始めたばかりの頃は、まだ働くことに対して踏ん切りがついていないのもあって、この質問に対して「1年プログラミングの勉強と親孝行(←???)の機会にあてたい」と答えていました。
今思うに、その答えで面接に落ちていた気がします。
というのも、実際に入社してみて分かったのですが、特に中小企業というのは経営的にも、人材的にも、本当に余裕がありません。
大企業では大きくゆっくり回っているサイクルが、中小企業では目まぐるしく回っています。例えば、大企業では3か月かけてやるような新人研修が実質2週間ぐらいで終わります。企業によっては、もっと短いでしょう。
そのような現場ですから当然、「今すぐ働けるかどうか」・「戦力(金)になるか」が重要であり、大企業とはまた違った視点でシビアに能力が見定められます。
就活時の面接はもちろん、入社後もあなたは「使えるかどうか」という視点で見られることが中小企業では多くなると思います。
あなたの個性すら、「小銭を稼げるか」という定規で測られるのです。(裏を返せば、中小企業にはバイトでの経験がそのまま活きる気がします。)
すぐに自分が成長できるのも中小企業
ただ、中小企業のメリットはそういうところでもあります。
個性は見てもらえなくとも、金を稼ぐために、現場に早く送り出してもらえます。
私は結局、いわゆる人売りIT企業に就職したのですが、1年8か月の間に大企業の現場2つで働き、国内・海外出張まで経験することが出来ました。
運が良かったのもありますが、本当に有難いことです。
一方で、私の周りで大企業に就職した人達は研修を終え、ようやく次の段階として先輩の下で実務をやり始めた段階です。
ですので、仕事の経験という視点ではその人達から2,3年のリードを奪うことができました。(パワハラまがいも経験出来ました^^)
その点で中小企業に就職して早めに現場に出してもらい、成長できたことは私としては結果的に成功だったのです。
感謝しかありません。
感謝しかないですが、トータルで考えたときに、「辞める」という選択肢に至りました。
就職、そして退職
そこそこの数の中小企業に応募し面接を行い、落ちたり、その間にまたエントリーシートや面接の用意をしていました。
大体は進んだ面接でお堅いことを質問攻めされて変なことを口走って、お祈りされるパターンが多かったのですが、
ある企業だけめちゃくちゃなことを口走っていても、適当な(和やかな)感じで終わったところがありました。
結局、私はその企業に就職しました。
入社の決め手は以下でした。
①その企業の最終面接前に、2つの企業からお祈りをされ、気分が落ち込んでいた。
②最終面接時、社長に「今すぐウチで働いて欲しい」と言われ、メールまで貰った。
要は、「この企業は自分を見てくれている!!」と思った訳です。
「ここだ!ここで頑張って恩を返そう!!」と決心しました。
そこからは早かったです。
私は最終面接から3日後に入社し、働き始めました。
(ちなみにその1週間後に、横の部屋から「ああすれば来てくれると思っていた」という社長の会話を聞いてしまいます。)
そして、日常の大体は辛いことしかなく、胃に穴が開きそうな思いで1年8か月働いた後に退職しました。
私が辞めた理由は端的に述べると、以下でした。
①「勉強代」を加味しても、労働と賃金が釣り合わないと思った。
②会社の中抜き分をザッと計算すると、新人時代のマイナスも含め、大体会社への恩は返し終えたと思った。
③社会に出て色んな経験をさせていただき、改めて自分のしたいことが見えてきた。
④いい年したオッサンがオッサンに怒っているのが、もう見たくなかった。
こんな風に、最後は色々と我慢できずに退職しましたが、
トータルで考えたとき、やはり私はこの企業に就職して良かったと思いますし、この企業でなければダメだったと思います。
もし、留年した段階で運悪く集英社などに就職していたら漫画を自分で書くことは一生なかったでしょうし、どこかまた別の段階で、もっとタチの悪い挫折の仕方をしていたような気がします。
「私」はなるようにしかならないし、自分の選択は結局、自身にとって最善なんだ
一連の経験を通してそう思います。
私の経験が果たしてアドバイスになるのか、どれだけ有意義なのか分かりません。
本当は逐一詳細を書きたかった部分もあるのですが、とりあえずザッと私のアツい就職活動、「シューカツ!」を記しておきました。
では、さよなら。